
東京都でありながら山あり、清流あり、人情あり、そして笑顔が溢れる飲食店ありの奥多摩。空き家が目立ち、高齢化が進む中、後継者不足で閉店を余儀無くさせる店も多い。そんな中、世知辛い都会生活からの脱却を目指し、新たな飲食店というステージで未来を切り開く息吹がここに

喧騒極まる新宿から電車を乗り継ぎいざ奥多摩へ。1時間半程のショートトリップも、道中スマホ片手にうとうとすれば、すっかり景色は田舎町。もちろん空気も澄み切っていて清々しい。そんな奥多摩駅から清流沿いの道をのんびり歩いて10分程のところに「蕎麦太郎カフェ」がある。「いらっしゃいませ!」と、この店の店主である舩越章太郎さんと、スタッフで看板娘の塚野幸子さんのとびきりの笑顔でお出迎え。こうした何気のない気取りなく気さくな接客がなんとも嬉しい店だ。

店主自らが打つ蕎麦が名物で、中でも「麦切り」は是非、足を運んででも食べて欲しい逸品。他にもタイカレー、なぜか新潟名物のタレカツがメニューに並ぶ。看板娘の幸子さん曰く、「マスターが気に入ったものが、ウチのメニューになっちゃうんですよ!」とのこと。訪れたこの日もエチオピア料理「ドロワット」なる激辛カレーが日替わりメニューでラインナップ。



「辛いの好きなんですか?ではメチャメチャおすすめですよ!」と、幸子さんの言葉に、名物「麦切り」と「ドロワット」をセットで注文、一気に完食。窓の外には都会にはない渓谷の眺め、テラス席に出れば清流の流れる音と澄んだ空気、そして美味しいご飯と優しい笑顔。なんとも贅沢なお店だ。カフェなのになんとコーヒー、お茶類は全て無料で飲み放題!? しかもwifi完備で、電源どこでもご自由に使ってくださいね! と、至れり尽くせり。「のんびりしていってください!」のお言葉に甘え、パソコンを取り出しノマドワーク。気がつけば、このお店のオープンラストで居ついてしまった。それでお支払いはというと、最初にキャッシュオンで支払ったお蕎麦とドロワット代のみ。恐縮なので追加で支払う意思を伝えると「ウチはこういう店なんで本当に気にしないでください!また是非来てくださいね!」と笑顔でスルー。日帰り旅の予定が、温泉浸かって小料理屋で地元客と一杯やっていたら気分良くなり民宿に素泊まり。翌日、「また来てください!」、「また伺いますね!」が早速現実のものとなった訳でして(笑)

取材協力
「蕎麦太郎カフェ」
東京都西多摩郡奥多摩町氷川397-1
0428-83-8160
「日本外食新聞」ソトスマ2019年2月15号掲載