神楽坂「バイザグラス」

店名にある「神楽坂ワインハウス バイザグラス」のバイザグラスとは、その名の通りグラス単位でオーダーできるワインという意味。カジュアルなものからちょっと高級なワインまで、グラスで楽しめるとあって、ワイン好きなひとり客やカップルには嬉しいお店だ。

社労士でありながらソムリエの資格を持つ奥様の映美子さんも週末のみお手伝い。ご夫婦揃って素敵な笑顔が印象的!

オーナーソムリエである松沢裕之さんは、バリバリの商社マンでありながら、ワイン好きが高じて脱サラを決意。賑わう神楽坂のメインストリートではなく、今、密やかに注目を浴びつつある「奥神楽坂」というエリアに、念願の店をオープンしたのは2018年11月のこと。メディアの定番フレーズである「ひっそりとした裏路地にある隠れ家的なお店」と、この「ソトスマ」では使わないけれど、ついそんな表現をしてしまいそうな立地と店構えだ。アットホームで、優しい笑顔のオーナーソムリエ自らのカウンター越しの接客とあって、まだ半年と経っていないにもかかわらず、ワイン好きな地元客を中心に、じわじわとリピーターが増えているようだ。

笑顔がキュート!
看板娘?のソムリエールは、とってもキュートでシャイな犬飼雅恵さん

松沢さんが、奥神楽坂を選んだ理由の1つは、メインストリートより家賃が安いこと。脱サラによる飲食店開業の場合、立地重視の家賃度外視で、内装にもお金をかけて、2年後には撤退という話は、耳にタコが出来るほど聞く話ではあるが、実に堅実な考え方といえる。しかも、オーナーソムリエである松沢さんのワンオペが基本で、曜日や予約状況に応じて、アルバイトスタッフをお願いするという。これまた人件費を考慮した堅実な運営だ。さすがは元商社マン、夢ばかりでなく、綿密な戦略あっての出店といえよう。

手作りキッシュに合わすワインはオーナーオススメで是非!
最後はやっぱりグラッパでしょう?

しかしながら、一番重要なのはハードよりソフト。ワインはもちろん、優しい味のキッシュを始めとしたワインに合うフードのセレクトも嬉しいけれど、何より楽しそうにワインを語るオーナーと、週末にヘルプで店に立つ奥様の映美子さんの和まされる笑顔の接客が印象に残る店。夢を形にして、その先の夢にひたむきに、そして堅実に向かって行く姿を見ると、これからずっと愛される店になるだろうと、ワイングラスを傾けながらふと思うのであった。

取材協力

神楽坂ワインハウス バイザグラス

東京都新宿区赤城下町11-1

☎03-6339-1630

「日本外食新聞」ソトスマ2019年4月15号掲載