
平成最後の新年が幕を開け、富岡八幡宮と深川不動尊を擁する門前仲町は、大晦日からの正月三が日は、例年多くの参拝客で賑わいを見せる。東東京に位置する深川の門前仲町は、団子屋、甘味処、深川めしを名物にする飲食店などが点在し、その名の通り門前町として下町風情漂う粋な街だ。

近年の門前仲町における外食事情としては、「串屋横丁」「串カツ田中」「晩杯屋」をはじめ、外食業界で勢いある業態の出店が目立つ。また、深川不動尊の参道にある「折原商店」は、角打ちができる酒屋として、店頭に駄菓子を置くなど、昭和な雰囲気を醸し出し休日だけでなく、平日も日本酒好きがちょい飲みできる空間として人気を博している。この街は今、古くから営業している飲食店と、こうした新たな飲食店が共存し、シナジー効果で街全体を飲食店から盛り上げているようにさえ思える。

そんなこの街で、満を時したかのように昨年2月に開店したのがここ「もつ焼よし田」だ。大衆酒場感漂うファサードと正当な大衆酒場プライスで、オープン当初より連日店内は賑わいを見せている。そもそもこの店は、人気焼肉店「炭火焼ホルモン ぐう」を展開する「ユニバーサル・ダイニング」のセカンドブランドの位置付けとなり、焼肉業態で培ったノウハウをもつ焼きに落とし込み、そこに大衆酒場テイストを盛り込んだという、ある意味リーズナブルでありながら、ちょっと贅沢なお店。というのも、もつ焼きといえば串打ちされ、カウンター厨房で焼きあがったものを提供するのが一般的。ところがまるで焼肉屋のようにここでは、もつや野菜を自分で焼いて食べるというスタイルが面白い。しかも、「もつ焼き=キンミヤホッピー」という、大衆酒場の定説を打ち破るかのように、無農薬レモンを使った数種類のレモンサワーや、今や居酒屋の定番焼酎となりつつあり「泥亀」のボトルキープなど、時代のニーズに合った数々の仕掛けで地元客や参拝客からの支持を得ているようだ。


実際に三が日に参拝がてら訪れてみると、カウンターにはサンダル履きの地元客と初詣帰りの参拝客で明るいうちから大賑わい。正月ならではの振る舞い酒に、お客さんは大喜びだ。この際、居酒屋でワンドリンクサービスというのをやめて、年中振る舞い酒にしたらどうか? なんて、新鮮なホルモンを自分で焼きながら無農薬レモンを絞った泥亀をグイグイと煽りながら思考を巡らせるのでありましたとさ。

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