想い出のカレー「牛八」

現在、五十路のオッさん(筆者)が、食べ盛りの高校生時代。部活動を終えて家に帰るまで我慢できないお腹の空き。「吉野家」よりも魅惑的だったのが「牛友チェーン」の「スタミナカレー」、通称「あいがけ」だった。「あいがけ」とは、牛丼にカレーがかかったもので、ジャンクな味に嬉しい大盛り。記憶では毎週木曜日はそれが半額で、高校生の小遣いで週一だけの贅沢がこの「あいがけ」だった。

時は流れ、勢力を伸ばしていたはずのインディーズ系チェーンであった「牛友チェーン」は、いつの間にか姿を消してしまった。ある日、東京・大井町で取材があり、老舗洋食店の「ブルドッグ」に行ったもののランチタイムで店の前に行列が。何を食べようかとぶらついていたところに、派手なファサードの店を発見。看板のメニューを見ていると「牛友チェーン」をなんとなく思い出した。

そこで店内に入ってみると懐かしいロゴマークを発見! こちらの店名「牛八」とコラボしているのは、今や幻の「牛友チェーン」のロゴマークだ。「そうそうこれこれ」とばかりに、店主である劉玉鈞(りゅうぎょくきん)さんに伺ってみると、およそ20年前、「牛友チェーン」公認の言わば暖簾分け的に「牛八」を創業したそう。そのため、食べ終わったお皿からは「牛友チェーン」懐かしのロゴマークが出てくるというわけだ。

とまあ、私のように懐かしむ人もいるかもしれないが、知らない人は知らないわけでして。ソトスマwebマガジンに連載中で、2019年に入りすでに250皿のカレーを完飲した「サコピン」のレポートによれば、「スタミナカレー大盛り(800円)の辛口(50円増し) を完飲」。タグ付けメモには「#牛友チェーンの最後の生き残り店舗 #牛友自体実は知らない #辛口なんですが全く辛くない #このチープさがたまらない #牛丼は玉ねぎたっぷりでかなり甘め #大はかなりのボリューム #マジで腹パン #店内は訪れた芸能人や有名人の写真やイラストにサインでびっしりw」とある。つまり時代を超えて、「牛友チェーン」の伝統の味が生き残っていたというお話。興味のある方は是非トライしてみてはいかがだろう。

取材協力

牛八

東京都品川区大井1-2-20 

03-3776-5994

「日本外食新聞」ソトスマ2019年7月15号掲載