
外食業界で知る人ぞ知る「感謝ノ焼酎 泥亀」の「泥亀仙人」こと野村勇氏より「麻布にな、泥亀置いとるおもしろい店あるんよ」とLINEメッセージが届く。そして続けざまに3枚の写真がピコンピコンと送られてきた。一見するとお店はカフェっぽいけれど、何か違和感が・・・。

その違和感を探るために、この店のことをネットで調べてみることに。食べログによれば、麻布十番にある隠れ家的ダイニングバーで、元ロブションのシェフが作るカルボナーラは絶品だとか、ユーザーからの書き込みではなかなか評価の高い店だ。ただそれだけでは普通にある、おしゃれで料理の美味しいダイニングバーといったところだ。「泥亀仙人」から送られてきた写真から感じた違和感はそこにある。そんな普通のおしゃれな店に、写真に写るこのお店のスタッフの女性が、やたら美人で妙に色っぽい。しかもナイト系の店ならともかく、自然光が差し込む明るい店内のカウンターで「泥亀」を持ってポーズを決める姿。そこに違和感を感じてならないのだ。さらにそのポーズときたら、写真を撮られ慣れているというか、表情やポーズが絶妙なのだ。カフェやレストランの普通のスタッフには醸し出すことのできない独特な雰囲気。単刀直入に言えば、キャバクラ嬢的な香りがプンプンするのだ。ということで、その違和感を払拭するために、というか、ただただ興味本位で取材という名目でこの店を訪れてみるのであった。

店内に入るとネットで見た通り、なんの変哲も無いごく普通のカフェだ。昼はランチ営業(現在ランチはクローズ)、14時から17時までのアイドルタイムを挟んで、夜はレストラン営業をしている。そのアイドルタイムがおよそ2年前から「ひるマーレ」と銘打って、通常のカフェ営業に加え、カウンター席に限り、美人ママが接客してくれる昼キャバならぬ、昼スナックと化すのだ。カウンター席に限り、チャージ90分3000円の飲み放題とシステムはまさにスナック。しかもスタッフは皆さん、元ナンバーワンキャバ嬢だというから美人揃いというのも納得がいく。現役を引退し主婦やママさんとなった方達が週1回のシフトで、日替わりママとしてカウンターに立ち接客してくれる店だったのだ。



明るいうちからこんな美人ママさん達と、しかもキャバクラに比べ居酒屋並みの価格で酒を楽しめるとあって、銀座や六本木のクラブ遊びに飽きたという、麻布十番という立地ならではのシニアなセレブ達を中心に連日賑わいを見せている。笑い声と、真昼間からポ~ンと高級シャンパン(別料金)を抜く音が響く店内。そう、これが違和感の正体だったということだ。
取材協力神
東京都港区元麻布3-11-2 カドル麻布十番4F
☎03-6804-3257
「日本外食新聞」ソトスマ2019年5月15号掲載