
東京でのサラリーマン生活を捨てて、放浪人生を歩み始めた。行き着いた先は、瀬戸内海を有する笠岡という小さな田舎町。駅前で店を営む五十路手前の居酒屋オヤジの愚痴や小言を綴ります。
正月の何が『めでたい』んだか、わかってんのかな?
・新年あけましておめでとうございます…って言うけどよ。何がめでたいのか、なぜ祝日なのか…わかってんのかな?
・年齢には「満年齢」と「数え年」っつーのがあるのは知ってるよな?でもよ?数え年が単純に満年齢+1歳って感じに思ってねぇか?
・「数え」だと、日本人は全員が元旦にひとつ歳を取るっつー考えなのよ。個人個人に誕生日が…っつー概念がない。知り合いであろうとなかろうと、道行く人や居合わせた人も全て、元旦が誕生日なんだ。だからとてつもなく目出度い日なんだっつーことだな。
・ところが現代では満年齢によって各々誕生日を祝ったりするわけだ。それぞれが個人的または限定的人脈の中だけ祝ったりするわけだが、日本中が祝ったりすることはない。また、他人にとっては少しもめでたい事など無い。
・日本という国の民は元より、平等っちゅーのが大好きな国民だ。それも機会の平等より結果の平等を好んできた。世界で一番社会主義が浸透し成功している国だと言ってもいいだろう。しかし、長い時間かけて作り上げてきた日本人にとっての「居心地の良い空間」ってのも近年の利己主義がはびこる風潮により瓦解の危機を迎えているように感じている。
・それは居酒屋のあり方にも現れていると言っていいだろう。皆で居心地の良い空間を共有するといった考え方よりも、個人のやりたい放題を通したいヤカラに合わせた店作りをしているところが目立つ。個室居酒屋や一人ひとりに衝立で仕切られた空間が与えられるラーメン屋や焼肉屋など枚挙に暇がないが、それに嘆かわしさを覚えるオイラは古い感覚の持ち主ってことになるだろうか?
・否、そうとも言い切れないだろう。例えば風景の良いところにあるカフェなどは、店内に仕切りや衝立なんかあったら風景を楽しめないが、そうしたところは皆が楽しめるようにマナーが守られているように思う。個室居酒屋で椅子に片膝上げて大声張り上げてる『輩(ヤカラ)』みたいな者なぞ排除される。
・正月の三ヶ日くらい、本来の日本人が安らげる空間ってなんだろう…とか考えてみるのもいいのではないか?スマホとにらめっこしてイヤホンで外界と遮断されることによる安らぎとは違うぜ?
日本人の現実逃避のやり方は「本気の現実逃避」なんだと思うぜ?
ってなわけで、本気の現実逃避が出来る日本人の心のシェルターを目指して日々頑張ってます(笑)
若い衆も、俺みたいなオッサンに負けるなよ?
以上、正月からコゴトでした。
Profile ねぶと屋店主 佐藤マコト

岡山県笠岡市にて魚居酒屋「ねぶと屋」を2010年より運営。2000年代にはテンポスバスターズに在籍しテキトーな営業スタイルで周囲より悪評を買う。広島でチェーン立ち上げに関わったり岡山の魚市場でブローカーみたいなことしたり。色んなとこ覗いて言うことだけはいっちょ前になった居酒屋オヤジ