
埼玉県さいたま市で、日本では普及していないヨーロッパ野菜や珍しい野菜をレストラン向けに栽培している「さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」。ちょっと見慣れない野菜と、栽培している若い農家さんたちを紹介します!
今週のお野菜 俊太郎くんのフルーツトマト
3月に入ると、毎年メンバーが楽しみにしている「俊太郎くんのフルーツトマト」の出荷が始まります。
俊太郎君のフルーツトマトは、人気がありすぎて畑の隣にある売店と地元スーパーだけで完売してしまう「幻のトマト」でした。お客様からの熱烈なリクエストもあり、数年前からレストラン向けにも出荷をはじめました。

トマトの旬といえば夏を思い浮かべるかたが多いでしょう。でも、実はトマトは高温多湿が苦手。ハウス内の気温と湿度が上がりすぎない3月〜5月頃が、1番美味しい「旬」なんです。

農家さんはよく「トマトはトマト屋(が作るべき)」といいます。野菜の中でも特にトマトは美味しく作るのが難しい野菜で、特に水分を極限まで絞って栽培するフルーツトマトは、「専門職」でないと美味しく作れないそうです。

俊太郎くんの家がトマトを作りはじめたのは1958年。おじいさんの代から60年もトマトを作り続けている、生粋のトマト屋です。
俊太郎くんのトマト栽培のこだわりは土作り。ハウスの中の土をよく見ると、藁が混ざっているのが見えますね。稲藁を2年かけて熟成させ自家製堆肥を作り、毎年、ビニルハウス1棟あたり1トン以上の堆肥を土に混ぜ込みます。
トマトは非常にデリケートで病気が出やすい野菜なので、土を健康に保つことが美味しいトマトにつながるそうです。

トマトがしっかりと完熟してから収穫するのも、俊太郎トマトの特徴です。
糖度が高く、味もギュッと詰まったフルーツトマト。トマトのお尻から放射状に筋が入っているのは、水分が絞られて糖度が上がっている証拠です。
俊太郎くんによると、3月末から4月上旬にかけてのフルーツトマトが、とくに甘くて美味しいそうですよ。


さいたまヨーロッパ野菜研究会 事務局 福田裕子
あちこちで野菜と農業の話をしているので「本当は何者なんですか?」とよく聞かれますが、本業は中小企業診断士です。
