
埼玉県さいたま市で、日本では普及していないヨーロッパ野菜や珍しい野菜をレストラン向けに栽培している「さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」。ちょっと見慣れない野菜と、栽培している若い農家さんたちを紹介します!
今週のお野菜 埼玉生まれのイタリア野菜「スティッキオ」
埼玉生まれのイタリア野菜。ちょっと何言ってるか分からないかもしれませんが、以前ご紹介したフィノッキオ(フェンネル)を、埼玉の種苗会社・トキタ種苗さんがスティック状に品種改良した新野菜が「スティッキオ」です。

フィノッキオ(フェンネル)はイタリアではとてもポピュラーな野菜なのですが、日本では形や香りが見慣れないこともあり、まだまだ馴染みがありません。そこで、甘く柔らかい香りで、スティック状に育つ品種をよりわけて、スティックサラダやバーニャカウダ用として売り出したのです。

ヨロ研メンバーに、トキタ種苗の福寿(ふくじゅ)さんという人がいます。
彼は日本にイタリア野菜を普及させるため、10年以上前から頑張っている人です。ヨロ研で栽培を始めた当初、スティッキオはなかなか売れませんでした。日本人には馴染みのない香りだし、食べ方もわからない。栽培しても売れ残ってしまう。

あるとき、「売れないのに、どうしてスティッキオを毎年作るの?」と生産者に尋ねたことがありました。すると「福寿さんがスティッキオを広めようとして頑張ってるから、俺たちは福寿さんのためにスティッキオを作り続けるんだよ」との答えが。泣かせるねえ。
それから数年、生産者だけでなく卸問屋さんやレストランのご協力もあり、スティッキオはヨロ研でトップクラスの人気野菜になりました。

ヨロ研で主にスティッキオを栽培しているのは関根なめちゃん。ほぼ1年じゅう栽培できますが、春がいちばん香りも甘みも強く、美味しい時期です。
使い方はセロリとほぼ一緒です。生のままサラダにするなら、オレンジや白身魚と相性が良いです。一口サイズに切って、オリーブオイルで炒めても甘くて美味しいです。特に、イワシや鯵などの青魚と合わせると最高ですよ。
暗いニュースが続く毎日です。爽やかな香りのスティッキオで気持ちをリフレッシュしませんか。

さいたまヨーロッパ野菜研究会 事務局 福田裕子
あちこちで野菜と農業の話をしているので「本当は何者なんですか?」とよく聞かれますが、本業は中小企業診断士です。
