ヨロ研通信vol.49

埼玉県さいたま市で、日本では普及していないヨーロッパ野菜や珍しい野菜をレストラン向けに栽培している「さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」。ちょっと見慣れない野菜と、栽培している若い農家さんたちを紹介します!

今週のお野菜 スカーレットフリル

スカーレットフリルは日本語で言うと「赤からし菜」、ピリッとした辛みと、赤紫色の縮れた葉が、サラダの味も見た目もグレードアップしてくれる野菜です。

栽培しているのは、ヨロ研でいちばん葉物野菜の出荷が多い「けんくん」(高橋賢さん)。大きなビニルハウスを何棟も使って、1年じゅうスカーレットフリルやルッコラなどの葉物野菜を出荷しています。

賢くんが栽培している葉物野菜

葉物野菜の栽培で難しいのは、収穫のタイミングに合わせたタネまきです。

スカーレットフリルはタネをまいてから夏場は25日、冬場は50日ぐらいで収穫サイズの草丈30㎝になります。今の時期は1日で数センチ伸びることもあり、出荷サイズを超えると茎が硬くなって美味しく食べられなくなるので、抜いてしまいます。

賢くんはレストランからの注文分を見越し、収穫日から逆算して週に2回、少しずつタネを蒔いていきます。曇りの日が続くと成長が遅れることがあるので、レストランからの注文分を確実に出せるよう、ある程度捨てることを覚悟で多めに蒔きます。

夏のビニルハウスは気温50度近くになることも。収穫は暑さとの戦いです

この春は新型コロナの影響でレストランからの注文が大きく減ったため、伸びすぎた葉物野菜を大量に捨てることになってしまいました。

これを見かねたヨロ研メンバーのレストランが、「生産者応援弁当」としてパック野菜付きのお弁当を売り出してくださって、行き場を失ったスカーレットフリルが随分助かりました。

緑色の「グリーンフリル」という品種もあります

スカーレットフリルは茎がポキポキ折れやすいため、わざと葉が萎れ気味の日中に収穫して、冷たい水のなかに入れてパリッとさせます。冷やすことで葉の呼吸が落ち付くので、日持ちもよくなります。

サラダとして食べることが多いスカーレットフリル。料理のコツは、油やたんぱく質の素材と合わせること。チーズやナッツ、ツナ、チキン、アボカドなど「こく」のある素材と組み合わせることで、辛みと旨味をお互いに引き立ててくれます。

NAVIGATOR

さいたまヨーロッパ野菜研究会 事務局 福田裕子

あちこちで野菜と農業の話をしているので「本当は何者なんですか?」とよく聞かれますが、本業は中小企業診断士です。