
埼玉県さいたま市で、日本では普及していないヨーロッパ野菜や珍しい野菜をレストラン向けに栽培している「さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」。ちょっと見慣れない野菜と、栽培している若い農家さんたちを紹介します!
今週のお野菜 森田さんの花ズッキーニ
朝5時、ビニルハウスの中では花ズッキーニの収穫が始まっています。気温が上がると花がいたむので、約1時間で300輪ほどを摘み取ります。ズッキーニの花びらは破れやすいため、スピードと繊細さが求められる作業です。

ヨロ研で花ズッキーニといえば森田さん。昨年、大阪で開催されたG20サミットの首脳ランチでは、森田さんの花ズッキーニがメイン食材として使われるなど、今や「日本一有名な花ズッキーニ農家」となりました。
花ズッキーニはとても傷みやすい食材ですが、シェフからは「森田さんの花ズッキーニは数日たっても鮮度が落ちない」と褒められます。その理由は、徹底した品質管理にあります。

花びらは洗えないので、収穫期間中は一切農薬を使いません。咲いた花を残しておくと虫が寄ってきてしまうため、注文がなくても毎朝すべての花を摘みます。
摘んだ花はすぐに冷蔵庫で冷やしてから、花びらに入った虫などを取り除きます。さらに、花びらに詰め物がしやすいよう、中にティッシュを詰めてパック詰めし、また冷やします。地元のシェフからは「届いた当日は、花びらのハリがありすぎて具が包めない」と言われることさえあります。
イタリア料理店では、花びらにチーズなどを詰めて包み、フリット(揚げ物)にします。
ご家庭だと綺麗に揚げるのが難しいので、森田家のレシピを教えてもらいました。
雌花を2つ割りにして耐熱皿に並べ、アンチョビとモツァレラチーズ、オリーブオイルをかけてオーブントースターで焼きます。簡単で、味はフリットとほぼ一緒!

さて、「週刊ヨロ研通信」、今号で50回となり最終回です。飲食業にとっては厳しい時期が続いていますが、カラフルな野菜たちが「外食の楽しさ」を取り戻すきっかけに役立てればいいなと思っています。毎週お読みいただき、ありがとうございました!
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さいたまヨーロッパ野菜研究会 事務局 福田裕子
あちこちで野菜と農業の話をしているので「本当は何者なんですか?」とよく聞かれますが、本業は中小企業診断士です。
